
↑<京都鉄道博物館>に在る、動態保存の、実際に走行することが出来る蒸気機関車の1輛である<C56 160>だ。
何か「酷く懐かしい」という想いでこれを眺めていた…
<C56 160>は現在でも各地でイベント列車の客車を牽引している。最近は滋賀県内での<SL北びわこ>での出番が多い様子だが、<SLやまぐち>の出番も在るらしい…
私自身が小学5年生か6年生の頃だったと思う。蒸気機関車が一線を退いて暫く経ったというような時代だったが、<SLやまぐち>の運行が始まり、他にも各地で「蒸気機関車が客車を牽引」というイベント列車が運転されるようになった。
そんな頃…この<C56 160>が北海道に運ばれて来て、札幌・小樽間で客車を牽引した。当然、乗客も集めた。2人分の乗車券の入手が叶い、私は弟と2人で出掛けて札幌・小樽間で<C56 160>が牽引した列車に乗車し、そこから普通列車を乗り継いで最寄りの新札幌駅に引揚げた…そんなことが在ったのだ。
そういう「少年の日の想い出」の中に登場する蒸気機関車と再会出来たことを喜んだ…
↓向きが変わって、光の当り方が変わると見え方も変わる…

<C56形>は1935(昭和10)年から1939(昭和14)年に160輛製造されている。国鉄の前身である鉄道省向けの他、樺太向けの4輛と民間向けの1輛も在るという。
<C56形>は、タンク式である小型の<C12形>を基礎に、テンダーを備えて長距離の運転が叶うようにしたという蒸気機関車である。方々で広く活躍出来たのだが、「小型軽量でありながら長距離運転が可能」という特性が注目され、1941(昭和16)年11月頃に160輛在った中の90輛がタイやビルマに送り出された。戦時の輸送で活躍したが、激しい戦いの中で多くの機関車が失われている。一部、使用に耐える状態で残った機関車は、タイ国鉄が戦後長く運用していたという…
こうして考えると…機関車のようなモノにも“物語”が在ることに思い至る…そしてこうした機関車は、私自身の想い出のように、人々の“物語”の中でも輝いている…