「時季ならではの見所」というモノが在る…例えば、「桜の銘木」というようなモノであれば「今!!」がその「時季ならでは」に該当することであろう…
城下町であった頃の面影をよく伝える<宇陀松山>…その街並みを眺めようと、榛原駅に出てバスに乗って大宇陀を訪ねた。<道の駅 「宇陀路 大宇陀」>の辺りにバス停が在った。到着して一息入れようと<道の駅 「宇陀路 大宇陀」>を覗けば、観光案内所が在った。辺りの簡単な地図でも頂こうと係の方に話し掛けた。そういう中で桜に話題が及んだ…
バスに乗っていても、訪れる人達のために<又兵衛桜>という道標が掲出されていたのを随分と視掛けたが…聞けば「三分咲き」という程度で、「御覧頂く分には好いとは思われる」ということで「ここから歩いて20分程度」というような話し…「それなら!!」と足を運んだ…
↓こういう様子だった…
↑「なかなか…凄いじゃないか…」と、桜を観る機会が寧ろ少ない私は感心していた…
辺りは御近所の皆さん等が多数出て、警備や誘導をしていたり、テントで地酒や食べるモノを販売しているような状況も見受けられた。「警備協力金を100円」という場所を通り抜けるので、そこでそれを収めると、係のおばちゃん達が現れた…
「なかなか…凄いモノですね…酷く大きな桜の木だ…」と私が言えば、おばちゃん達は…「これでもな…好くなったのや…一昨日位は好くなくてな…来た人が“全然咲いとらん!”言うて怒るのや…“何時咲く?”とか言われてもな…私らも御天道様の御機嫌は知らんし…」という調子だ…
そのおばちゃん達は、“三分咲き”というような感で、近くでよく視れば「寧ろ蕾が目立つ」としていた。今季は気温がやや低い状態が続いていて、花は「やや遅い?」ということだ…少し山間で標高が少しだけ高いこの辺り…県内や近県の平野部や標高が低い盆地よりも空気が冷たい感じなのも否めない感ではある…そういう中、桜が咲くのはマダマダ先という北国の者としては、こういう銘木に花が咲き始めた様子を眺める機会が得られたことは嬉しい。おばちゃん達にそう言えば、「こういう感じもえぇものや…」とか「私はこういうのも好きや…」ということだった…
↓観る角度で光の当たり方も変わるので、見栄えの感じは色々である…
↑確かに「寧ろ蕾が目立つ」という状態だった…しかし、非常に大きな木なので「寧ろ全体の雰囲気を眺める…」という感じで、こんな状態も悪くはないのではないかと思っていた…
「平日の午前中」で、花の状態も十全ではない訳で、辺りは空いていた…そういう中…<宇陀松山>の酒造会社が時期限定で<又兵衛桜>というラベルを貼ったカップ酒を用意していて、それが売られていたので求めて頂いた…土地の美味い酒を頂き、地元の人達が愛する自慢の銘木で、多くの人達も観に来るという桜を愛でる…素晴らしい青空の下で…実に好い!!
↓然程長い時間でもなかったが、観ていた間に光の当たり方が変わって、見栄えはドンドン変わった…
<大坂の陣>で凄絶な討死を遂げたという後藤又兵衛…「実は討死せずに落ち延びた…」という説が在って、落ち延びた後藤又兵衛は当地で僧侶として静かに余生を過ごしたと云い伝えられ、桜は彼が植えたということになっているらしい…乱世を駆け、戦が少なくなって何か息苦しかった中で散り際を求めるように<大坂の陣>に参陣し、勇戦したという豪傑の「静かな余生」という挿話…“伝承”の最たるものだが…何か好い!本来は木が在る場所や形状に因んで<本郷の瀧桜>と称した銘木だが、挿話に因む<又兵衛桜>という異称が在り、近年はテレビドラマの影響等も在って、後者で知られるようになっているのだという…
↓機会が在れば…この銘木に再会したい…そういう気分でここを後にした…