「難読地名」というモノが在る。概して「平易な文字を使っているが、少し変わった読み方をする」という例と、「当該地名以外の用例が思い当たらないような文字を使っていて、読み方が思い浮かばない」という例が在るように思う。
こんな話しを思い浮かべたのは、鹿児島県に在る「頴娃」という地名に出くわしたからだ。「頴娃」と、どのように説明すれば好いのか判らない2文字で「えい」と読むそうだ。「頴娃」の2文字は、「当該地名以外の用例が思い当たらないような文字」ということになると思う。古く、各地の武士等が知行地や所縁の場所の地名を一族の姓として名乗る例が見受けられたということだが、この地域に在った一族が「頴娃」という姓を名乗っていた例も在るようだ。それにしても地名に依拠した姓な訳で、「頴娃」の2文字については「当該地名以外の用例が思い当たらない」ということに変わりは無い…
「頴娃」という場所は少し前まで「頴娃町」という自治体だったそうだが、近年は周辺の自治体と合併して「南九州市」となっているという。鹿児島県では、所謂「平成の合併」で市町村の合併が推し進められ、自治体の数は以前より減っているそうだが、県内にはその減ってしまう前の自治体の数以上に焼酎を造っている場所が在るようだ。要は「各々の町に各々酒造会社が立地」というような状態だったようだ。現在でも、そうした酒造会社の多くは活動を続けている。頴娃にも焼酎を造っている場所が在るという。頴娃では、鹿児島県で焼酎の原料としてポピュラーなサツマイモの栽培が盛んに行われているそうだ。その頴娃で焼酎を造っている会社で「ウォッカを造っている」と聞き及んだ。
「鹿児島県の頴娃のウォッカ」と聞いて好奇心が刺激された。かなり強い刺激だ!
↓ボトルがこういう箱に収められた状態で販売されている…500ml入りということで、然程大きくはない箱だ…
↓確り「品目:スピリッツ」と表示され、製造業者の住所は「鹿児島県南九州市頴娃町」だ…
ウォッカも焼酎も蒸留酒である。何れにしても発酵させた材料を蒸留して酒を造る訳だが…“ウォッカ”というモノは、蒸留したモノを白樺活性炭で濾過する。濾過することで、酒精の個性が前面に出るような「透き通った」という感の酒であるウォッカが出来上がる。
こんなウォッカが、鹿児島県の頴娃で焼酎を造っている場所で製造されているのだ…
↓箱からボトルを出した…
頴娃で盛んに栽培されているサツマイモの糖分を抽出して醪を生成し、それを丁寧に蒸留し、白樺活性炭で濾過する工程を加えてこの<AKAYANE PREMIUM JAPANESE VODKA>(赤屋根プレミアム ジャパニーズウォッカ)は出来上がる…日本国内の材料を使う、日本国内の業者が、日本国内で製造…本当に「日本のウォッカ」ということになる。
<AKAYANE PREMIUM JAPANESE VODKA>(赤屋根プレミアム ジャパニーズウォッカ)を造っている<佐多宗二商店>という会社は1908(明治41)年に起こった会社で、永く焼酎の製造に携わっている。この会社は焼酎の製造工程の中で「蒸留」に独特の拘りを持っている。様々な蒸留酒の製造工程での蒸留方法を研究し、国外メーカーによる蒸留機を入手する等し、2006(平成18)年に完成した<赤屋根製造所>を主な拠点に、新たに工夫した製品を色々と手掛けているということだ。
↓口にしてみれば「なるほど!“ウォッカ”じゃないか…」という具合だ。少しトロッとしたような按配の、クリアな酒精…そういう個人的には多少馴染んだ感じのモノだ…
実は…ロシアの方と話して酒に話題が及び、「焼酎?」ということにでもなれば「多分、ロシアでは栽培されていないと思われる、甘味が在るイモを使って、ウォッカのような要領で造る酒」というような説明を試みる。「甘味が在るイモ」(=サツマイモ)以外にも麦や米、他の材料を使う場合も在るという程度に付け加える場合も在るが…この<AKAYANE PREMIUM JAPANESE VODKA>(赤屋根プレミアム ジャパニーズウォッカ)のようなモノが在るのなら…「焼酎?要するにウォッカ。白樺のフィルターを使わない場合が多いモノ」とでも言って、「焼酎を造っている会社でウォッカも造っているんだ!」とでも付け加えると好いということになるかもしれない…
↓それにしても…直ぐに空いてしまいそうな感じだ…