↓こんな一升瓶に収められた酒だ…会津若松からやって来たモノである…
<花春>…会津若松の老舗だ…
1718年と言うが…かの江戸幕府の第8代将軍である徳川吉宗が将軍に就任したのが1716年と呼ばれ、教科書には徳川吉宗の治世に関して、当時の元号に因んで「享保の改革」というように紹介していると思う。会津若松に、その享保年間に酒造業者が起こった。その1718年に起こった業者の後裔ということになるのが<花春>である。
会津若松を本拠地としていた会津松平家は、18世紀の末の方になると、各種の産業の振興を奨励するようになる。酒造業に関しても、先進地域の技術ノウハウを導入するなどして、盛んになって行ったという。その後、幕末期には会津若松が戊辰戦争の激しい戦いの舞台となってしまい、各種の産業の施設が損なわれたというようなことが在ったが、明治期以降に順次復興している。その後、世の中の様々な制度の変更等を経て、<花春>は1940年代末に現行の会社の体裁になっているのだという。概ね300年にも及ぶ伝統を負う酒造業者だ…
↓「花春」という銘は、「(街が荒廃してしまうようなことが在ろうとも)花が咲き乱れる春は必ずまたやって来る」というような含意が込められたということらしいが、その花のイメージ、桜の形の中に「粕取」と在る。入手したのは粕取焼酎だ…
清酒を醸造する際に酒粕が生じる。この酒粕を使って一手間…幾つかのやり方が在るようだが、酒粕を蒸留するようなことをすると焼酎が出来る。今般入手したのは、概ね300年の伝統を受け継ぐ<花春>が、古くからのやり方で製造したという粕取焼酎である。
この<花春焼酎>は、「酒粕を溶いて造る甘酒」を何処となく思わせるような「酒粕?」という味がする。そしてほんの少し香ばしい。材料由来の微妙な甘味―ハッキリ「甘い」という程ではない…―も感じられないのではないが、「微妙な変化を加えた清酒風」で「清酒ともやや違う」という、名状し悪い個性的な味わいである。
↓「個性的な味わいを如何に形容すべきか?」というようなことを想う中、何となく盃を重ねてしまう…それがこの<花春焼酎>かもしれない。
専らストレートで頂いていた間に、残りが少なく…それだけ魅力的なモノである!