その「樺太の鉄道」の流れを汲む鉄道も、往時の路線がそのまま利用されていたり、利用不可能となってしまっていたり、或いは一部には新たに敷設された部分も在るという。非常に「興味深い存在」ではあるのだが…ハッキリ言って「使えない…」感じである…
「使えない…」感じとは?極端に旅客列車運行本数が少ないのである。北海道内や、個人的に知る限りでは九州の一部路線に見受けられるような、「1日に数本」という運行体制な区間ばかりで、「列車で〇〇を訪ねて…そして更に〇〇に寄って…」というようなことは、「駅を離れずに“乗りっ放し”を辞さない」という「極端に過ぎる」計画を「相当に綿密に練る」のでもなければ「物理的に不可能」な感である…
そういうようなことで、「列車に乗ってみる」という機会をかなり永い間に亘って設けることが出来ずにいたのだったが…昨日の夜、偶々気付いた…「土日のみの運行」ということだが、「朝9時10分にユジノサハリンスク駅を出て、10時15分にコルサコフ駅に着く列車」なるモノが在ったのだ!これであれば、復路の列車利用は不便極まりないので断念にしても、普通にコルサコフを散策し、復路場バス利用で戻ることも可能だ…
折り好く、「何となく空いた土曜日」を迎えることになり…曇天で小雨は時折交じったが、歩き回ることに支障は無い範囲なので、朝からユジノサハリンスク駅へ足を運んでみた…
↓ユジノサハリンスク駅の窓口で乗車券を求めた…券そのものは、随分以前に欧州諸国で求めたような券の様式である…「近郊乗車券」(ПРИГОРОДНЫЙ БИЛЕТ)と在る。コピー出来ない「光るモノ」が確り付いている。或いは「ルーブル紙幣よりも立派?」なので驚いた…

↑駅へ入るには、何やら「手荷物X線検査」と「金属探知機」のゲートが在る、警察官が貼り付いている場所を通り抜ける…窓口は硝子張りで料金や券をやり取りする小窓が開いている感じ…「ロシア鉄道」の略称の“РЖД”をアレンジした赤いロゴが入ったお洒落な制服に身を包んだ女性係員が対応してくれた。「9時10分に出る、コルサコフに行く列車の券を…」と申し出れば「コルサコフ駅でよろしいですね?70ルーブル20コペイカです」ということだった。100ルーブル紙幣を出せば、釣銭は30ルーブルだった。50コペイカ以下は切り捨てられてしまっていることが殆どだ…
駅の中からホームへ出る扉は、列車が発車する直前でなければ開けないようだった。券の窓口の脇に、案内を担当しているような方が居る窓口が在ったので尋ねれば、「外の横断通路経由でホームに出られる」という話しだった…
駅舎を出て、ハンバーガー店と反対側、右へ行けば何やらホームへの出入口が在り、地下への階段も見受けられる。これは駅構内を横切って反対側のエリアへ出る通路を兼ねているモノで、日本国内の駅でも見受けられる“跨線橋”と逆に地下から各線のホームに出られる方式だ…
サハリンの鉄道駅や踏切辺りの線路や列車が視える辺りで、何となく写真を撮っていると「禁止ですから!!」と関係者にお叱りを受ける場合が在る…
↓それでも1枚…これは、画の奥のベンチに先客が在ったので、何となく眼に留めた「やや離れたベンチ」に腰を下ろし、脇にバッグを置いて一服していた時、何となく撮ってしまった画だ…

↑左側は、北のノグリキを前夜に経って、夜通し走って到着した列車だ…既に乗客が下車して、車輛はこれから移動するかどうかするのであろう…赤い大きなディーゼル機関車が視えるが、これはポロナイスクの手前辺りの駅を目指す列車のようだ。何処かで増結するのかもしれない。そして右側がコルサコフへ向かう列車だ…
画の右側のコルサコフへ向かう列車だが、“ディーゼルカー”という風情ではあるのだが、日本国内で見受けられるようなディーゼルカーとは機器配置のバランスが違うような気がした。乗り心地がやや違う。自身は画に写っている、列車の最後尾に乗車したのだが…
↓誰も居ないので、遠慮なく撮影した車内…

↑結局、下車するまで「貸切」だった…
↓9時8分頃に姿を見せた列車に乗り込み、「貸切」の車内で座席に陣取って、窓から眺めた様子である…

↑ゆっくりと車輛の感じを撮影出来ない状態なのだが…乗降口は、乗り降りがやや大変だ。低目なホームから扉辺りの手摺に掴まって「よいしょ!」と上がり込む感じだ。序でに…下車した際も、何か「ひょい!」と飛び降りる感じもした…
列車はゆっくり動き出した。恐らく時速50㎞に届くかどうかというような、ゆったりしたペースで進むのだが…“停車”が想像よりも遥かに多い!
ユジノサハリンスク駅を出ると、“インスティトゥート”、“ボリシャヤ・イェラニ”、“オクチャーブリスキー”、“シティーモール”、“ホムートヴォ”とユジノサハリンスク市内に設けられた乗降場で停車する。
「乗降場」だが、列車に長さには遥かに及ばない、バス停のような感じの場所だ…中には、踏切が在って、列車の後部が道路上に在る状態で、行き交う車が踏切が開くのを待っている中で乗降しているような事例も在った…バス停との違い?律儀に乗降場の名を示す看板が在ることだ…バス停に関しては「名称不詳」が多々在るのだ…
それにしても“シティーモール”という乗降場には驚いた…本当に道路を一本渡ると、あの大型商業施設だ…が…「列車で<シティーモール>に行った」という話しは聞いたこともない!あそこはバスか車、或いはタクシー等が普通な感じだ…
“ホムートヴォ”については、ユジノサハリンスク空港へ向かう辺りで、そこを過ぎると“フリストフォロフカ”という場所に停車する。この場所は貨物駅か何かのようで、嘗ては「車庫でも在ったのか?」というような設えだった。そこを過ぎると、宗谷線の一部等の北海道内の鉄道にも見受けられるような、「森の中」という感じの場所を少し進む…
発車から30分程すると、コルサコフ地区内の乗降場に入って行く。“ミツリェフカ”、“ダチノエ”、“ソロヴィヨフカ”と進む。“ソロヴィヨフカ”を過ぎれば、進行方向の右に海が視える…
ユジノサハリンスク・コルサコフ間の道路は、丘陵の起伏の上り下りのままに山林を開いて築かれたような感じだが、鉄道の方はかなり海岸に寄った辺りを走っている感じだった…
列車は“トリーチャヤ・パーディ”、“フタラヤ・パーディ”、“ピェールヴァヤ・パーディ”と進む。ここは「三の沢」、「二の沢」、「一の沢」だ。“ピェールヴァヤ・パーディ”では進行方向左側に引き込み線が視える。この引き込み線はコルサコフとを往来する道路を横切って、一応警報機は設置されているが、辺りが土で埋まっていて、全然使用されていない様子が伺える線である…
やがてコルサコフ市内の港が視える。コルサコフの街へ車で訪れる際に見覚えが在る、ロシアの石油会社である<ロスネフチ>のマークが在るガソリンスタンドの見える辺りで停車をしたが、そこが“スタールィー・ヴァくザール”(旧駅)である。
↓列車は更に進んで“コルサコフ”に着いた…

とりあえず、散策してみたい辺りにも近いので、ここで下車したが、列車はもっと港に寄った辺りへ進み、そこに設けられた乗降場で乗客の出入が在って、直ぐに折り返し運転でユジノサハリンスクに引揚げたようだ…
実際…ユジノサハリンスク・コルサコフに関して「列車で移動」は聞いたことが無かった。自身で試してみることが出来たのは好かった…
復路に関しては、料金が135ルーブルのバスでユジノサハリンスク市内に引揚げた。バスは10分や20分も待っていれば、直ぐに現れる。ユジノサハリンスク・コルサコフに関しては、自家用車や借上げる車輛以外で移動するとすれば、このバスが一般的だ…が…列車は何か「勿体ない」感じだ…本数が少な過ぎて「全然使えない!!」のだが、沿線の景色は好いのだ…そしてユジノサハリンスク市内の部分等、「意外に便利」な側面も在る…
列車に関しては、また別な型でも乗車を試みたい。
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