
↑3月24・25日に初めての公演が催されたばかりの「新作!」な芝居である…非常に愉しく観た!
<チェーホフセンター>での新作劇だが…通常な型で、ホールに観客が入ってステージで劇が演じられるのではなく…ステージのホール寄り辺りに、階段状に椅子を配した100席余りと見受けられた特設席を設ける方式の上演だった…随分以前にも、こういうような「ステージ上に少数の客席を設えて上演」というやり方を見た記憶が在るが、今般はかなり久し振りにこの方式の上演を観た…
何やら「前売り券?無い…」という感じで、「当日に窓口で…」というような話しになり、当日に足を運んで券を入手ということになった…席の指定は無く、“自由席”という次第…運好く最前列の端に陣取った。端の席でも、普段の大きなホール程に幅が在るでもないスペースなので、非常に好かった!演者が語気を荒げて話すような場面では「唾が多少散るのが視えるような…」という距離感だった…
『犬の心臓』(Собачье Сердце)は、ブルガーコフの小説である…これをベースに脚本を起こしての演劇化である…小説の粗筋に依拠しながら、独特の「大人向けな芝居」として、なかなか独特なパフォーマンスがステージ上で展開していた…「+18」と「18歳以上の鑑賞」という指定になっている芝居だ…
ブルガーコフの作品の中、『犬の心臓』(Собачье Сердце)は比較的よく知られている作品であると見受けられる…1920年代のモスクワを舞台とする小説なのだが、何処か「SF!」という設定が入り、同時に当時の世相を反映して、少なからぬ皮肉も込められたような、独特な雰囲気が在る作品だ。ブルガーコフは、医学部に学んだ経過が在り、そのためか「科学」を作中に容れた、現代で言う「SF!」な作品が幾分在るようだ…
フィリップ・プレオブラジェンスキー教授は、犬に手術を施して実験を行う…その結果、犬が人間のようになって行くのだが…教授が犬に着けた“シャリク”という名を転訛して、「人間化」してしまった犬は“シャリコフ”という、何となくロシア語に在りそうな姓を名乗り、教授を苛立たせる粗野な言動を見せるようになって行く。そして…という物語だ。
新作劇…限られたスペースで、抽象的な見せ方で小説を原案とする世界観を判り易く、同時に「やや意表を突く見せ方」で魅せてくれた…何か非常に「現代的な見せ方」と、感心していた…何か「怪物染みた存在」になって行く“シャリコフ”だが、何処か「哀愁…」も在る…
<チェーホフセンター>で芝居を愉しむ週末の夕べ…非常に好い!!
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