<本郷瀧桜>または<又兵衛桜>:大宇陀(2019.04.02)

「時季ならではの見所」というモノが在る…例えば、「桜の銘木」というようなモノであれば「今!!」がその「時季ならでは」に該当することであろう…

城下町であった頃の面影をよく伝える<宇陀松山>…その街並みを眺めようと、榛原駅に出てバスに乗って大宇陀を訪ねた。<道の駅 「宇陀路 大宇陀」>の辺りにバス停が在った。到着して一息入れようと<道の駅 「宇陀路 大宇陀」>を覗けば、観光案内所が在った。辺りの簡単な地図でも頂こうと係の方に話し掛けた。そういう中で桜に話題が及んだ…

バスに乗っていても、訪れる人達のために<又兵衛桜>という道標が掲出されていたのを随分と視掛けたが…聞けば「三分咲き」という程度で、「御覧頂く分には好いとは思われる」ということで「ここから歩いて20分程度」というような話し…「それなら!!」と足を運んだ…

↓こういう様子だった…
02-04-2019 Uda, Nara pref (2)
↑「なかなか…凄いじゃないか…」と、桜を観る機会が寧ろ少ない私は感心していた…

辺りは御近所の皆さん等が多数出て、警備や誘導をしていたり、テントで地酒や食べるモノを販売しているような状況も見受けられた。「警備協力金を100円」という場所を通り抜けるので、そこでそれを収めると、係のおばちゃん達が現れた…

「なかなか…凄いモノですね…酷く大きな桜の木だ…」と私が言えば、おばちゃん達は…「これでもな…好くなったのや…一昨日位は好くなくてな…来た人が“全然咲いとらん!”言うて怒るのや…“何時咲く?”とか言われてもな…私らも御天道様の御機嫌は知らんし…」という調子だ…

そのおばちゃん達は、“三分咲き”というような感で、近くでよく視れば「寧ろ蕾が目立つ」としていた。今季は気温がやや低い状態が続いていて、花は「やや遅い?」ということだ…少し山間で標高が少しだけ高いこの辺り…県内や近県の平野部や標高が低い盆地よりも空気が冷たい感じなのも否めない感ではある…そういう中、桜が咲くのはマダマダ先という北国の者としては、こういう銘木に花が咲き始めた様子を眺める機会が得られたことは嬉しい。おばちゃん達にそう言えば、「こういう感じもえぇものや…」とか「私はこういうのも好きや…」ということだった…

↓観る角度で光の当たり方も変わるので、見栄えの感じは色々である…
02-04-2019 Uda, Nara pref (4)
↑確かに「寧ろ蕾が目立つ」という状態だった…しかし、非常に大きな木なので「寧ろ全体の雰囲気を眺める…」という感じで、こんな状態も悪くはないのではないかと思っていた…

「平日の午前中」で、花の状態も十全ではない訳で、辺りは空いていた…そういう中…<宇陀松山>の酒造会社が時期限定で<又兵衛桜>というラベルを貼ったカップ酒を用意していて、それが売られていたので求めて頂いた…土地の美味い酒を頂き、地元の人達が愛する自慢の銘木で、多くの人達も観に来るという桜を愛でる…素晴らしい青空の下で…実に好い!!

↓然程長い時間でもなかったが、観ていた間に光の当たり方が変わって、見栄えはドンドン変わった…
02-04-2019 Uda, Nara pref (15)

<大坂の陣>で凄絶な討死を遂げたという後藤又兵衛…「実は討死せずに落ち延びた…」という説が在って、落ち延びた後藤又兵衛は当地で僧侶として静かに余生を過ごしたと云い伝えられ、桜は彼が植えたということになっているらしい…乱世を駆け、戦が少なくなって何か息苦しかった中で散り際を求めるように<大坂の陣>に参陣し、勇戦したという豪傑の「静かな余生」という挿話…“伝承”の最たるものだが…何か好い!本来は木が在る場所や形状に因んで<本郷の瀧桜>と称した銘木だが、挿話に因む<又兵衛桜>という異称が在り、近年はテレビドラマの影響等も在って、後者で知られるようになっているのだという…

↓機会が在れば…この銘木に再会したい…そういう気分でここを後にした…
02-04-2019 Uda, Nara pref (21)

この記事へのコメント

  • ライカ

    こんばんは。
    又兵衛桜この地も観光地化に伴い大幅な整備がされ
    見苦しい場所になってしまいました。残念な限り。
    桜そのものは素晴らしいのに…

    この桜に似た桜井の今井谷の八講桜が可憐で
    素晴らしいです。訪れる人も少なく…
    近くには国宝、十一面観音が祀られた聖林寺があります。小さなお寺ですが、この観音さまに一目お逢いすると魅了されることは間違いないとてつもなく素晴らしい可憐なお姿です。
    また機会があれば桜の季節に是非お尋ね下さい。
    おすすめです。

    一連の奈良の旅をじっくりと拝見しました!
    時間の限られた中、とても精力的に歩いて素敵な画を求めて
    行動された事が何故か一緒に旅をしていうように手に取るように画面に映り、全ての記事にコメントをしたくなりました。
    中には私たち地元民が知らない事までが
    画や文章から知ることが出来たのは収穫でした。
    特にホテルの一室からの旧国鉄奈良駅の画には衝撃でした。

    ここ奈良も近年観光地として京都のようにオーバーユース化に
    なりつつあり古き良き景観が失われていく事を危惧します。
    今、撮っておかないと消えうる画は沢山あります。
    この土地に暮らす奈良の人間として、
    奈良を好いて頂き、嬉しく思います。

    ブログが繋いだ「縁」に感謝です。
    2020年05月05日 00:10
  • Charlie

    >ライカさん
    おはようございます!
    奈良に御住まいの方に、拙作の奈良県内での画を御愉しみ頂けたということを、殊更に嬉しく思います。「住んでいる場所で、訪ねた場所で、“その辺に在る”ような好さを見出す」というのが、私のテーマのように勝手に思っています。そういうことで、来訪者として私が見出したモノに、御住まいの方が眼を向けて頂けるというのは酷く嬉しい訳です。
    奈良に関して、友人の間では「修学旅行で大仏様を視たのを覚えているが…他に行ったことは?」という感なので、私は何時も「色々な意味で居心地好い場所で、観るべき場所が溢れている!」と力説しています。訪ねてみれば、自ずと写真を撮る枚数も多めになり、限られた滞在時間の中でドンドン撮って、気に入った画を付してこちらのブログ記事にしています。
    北海道辺りから関西を目指せば大阪が“玄関”のようになりますが、実はその大阪から奈良は存外に近く、京都も大阪と然程変わらぬ移動時間で、神戸さえも然程の移動時間―街と街とが離れている北海道の感覚では、奈良・神戸三宮の近鉄と阪神による“直通列車”が在ることや、JRの大阪乗り継ぎでの神戸までの移動時間は「驚異的な近さ」というように見えます…―でもない場所な訳で、最近では奈良に関しては「関西の別宅」と考えて差し支えないような「旅行の際の拠点に似つかわしい」と考えるようになっている側面も在ります。またあの「旧国鉄奈良駅の建物」を鳥瞰する宿の部屋と出逢ったというのも、「奈良が好い!」の大きな理由になっています。宿の部屋の窓から視る光景は、地元の方が出くわし悪い光景ということになると思います。が、来訪する者としても、あんな様子は先々で簡単に出くわせるものではありません!あれは酷く気に入っています。
    私が住む稚内は、5月に入っても桜―この辺では<エゾヤマザクラ>という種類です…―は未だです。そして今日も「4月最初の雨が降り頻る奈良」よりも寒いような状況です。そういう感覚ですから、昨年出逢った「三分咲きの<又兵衛桜>」が酷く素晴らしく思えて、こちらの記事に纏めたのでした。稚内の「過ぎる程に静か」と、札幌や大阪辺りや京都で見受けられる「酷く賑やか…」が自身の中の比較対象なので、奈良県内の名所に関しては「こんな感じであろう…」と思える範囲の様に私には感じられます。
    桜の時季の奈良県は当然ながら非常に素晴らしいと思いますが、時季を問わず、機会が設けられるのであれば何度でも立寄りたいと思います。そして、このブログで画を取上げたいものです。
    2020年05月05日 07:12