↑鹿児島県の北西部、伊佐で造られている銘酒である…
最近、焼酎に関しては「黒〇〇」という銘を冠したモノが少し目立つと思う。
焼酎を蒸留する際の醪を造る際に麹を使う。古くは清酒を醸す場合に使う“黄麹”を使ったが、温暖な南九州でより使い易い“黒麹”が導入された。その後、更に使い易い“白麹”が導入され、広く普及して主流となっていた。そうした中で「改めて“黒麹”を使おう!」という動きが興った…
その「改めて“黒麹”を」ということを試行し、商品が大いに支持され、「黒〇〇」という銘を冠したモノが目立つようになる「流れを作った」とされるモノの一つが<黒伊佐錦>である…
↓黒っぽい感じの一升瓶に、ラベルを貼り付けているのでもなく、<黒伊佐錦 原酒>と判るようなデザインが「直接刷り込まれた」というようになっている…
↑何か「少し特別…」という感もする…
<黒伊佐錦>は<伊佐錦>という銘に「黒」を冠したのだ。
<伊佐錦>は、伊佐地域の小さな蔵が連合して現在の<大口酒蔵>の母体となる組織を起こした際、安定した生産を確保して出荷拡大を目指す焼酎の銘としたモノである。この銘のラベルだが、伊佐の焼酎を「僕のふるさとの焼酎」として愛でていたという、作家の海音寺潮五郎が揮毫した文字に基づいて作っているのだそうだ。鹿児島県の北西部、熊本県との境界に近い伊佐は「伊佐米」として知られている鹿児島県下ではよく知られた米作の盛んな地域で、当然ながら他の作物にも恵まれた地域である。そして「“焼酎”の文字が記された、確認出来る最古の事例」が出て来たのも伊佐だ。そういう「地域に息づく伝統」を踏まえて登場した<伊佐錦>である。その<伊佐錦>が<黒伊佐錦>を打ち出し、「少し大きな潮流」を業界に起こしたという訳である…
↓酒そのものの美味さは、酒に纏わる挿話を知ると、ほんの少し増すような気もする。
↑最近出くわす機会がやや多い「黒〇〇」という系統のモノの原酒で、これはなかなかに親しみ易い感じだと思う…
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