過ぎる程に静かな居室で<しゃちブレンド>を淹れる。芳香が辺りに立ち込める中、バランスが好いと思える味を愉しむ。「普段の月曜日の朝」が戻ったという感である。「善かった」とすべきか?「行ったきりなら幸せになるがいい♪」と、何処かに留まって、そのまま戻らないという選択も在ったか?少し時間を設けて、気分転換をして戻ると、時々思うことではある。が、今般は何やら世の中が「事情」でゴチャゴチャした感じになっているような中なので、普通に戻って「善かった」ということにしておくべきであろう。
「愛用のカメラでも抱えてフラフラと自由な時間」ということがしてみたくなり、実際にそれをやってしまった…
「あなたの街へ…この駅から…北の始発駅!稚内駅!」と勝手に呼んでいる駅を発ち、新千歳空港を“玄関”に本州方面を一寸往復しようと思い付いた。往路は成田空港に入り、復路は神戸空港を発った。
往路を成田で、復路を神戸としたのは、成田・神戸の間をゆっくりと進み、様々な文物に触れながら動きたかったからだった。実際には少し感じが変わった…
成田上陸とした理由でもあったが、香取神宮や佐原に出会って満足した。が、当日は冷たい雨に濡れ続けて、上着やキャップは「そのまま拭き掃除に使える?」と見受けられる「絞った雑巾のよう…」に湿り切った状態となり、身体が冷えて来た感じで多少弱った…終いに手が悴んで、ポケットのモノを出し入れする場面で苦戦するようになった。千葉県内辺りでそんな目に遭うとは思っていなかった…
東京駅へ向けて移動し、東京都内を少し視て、西へ向けて少し動こうとしたが…雨は真昼間から雪へと変わっていた…東京駅で一息入れた後…新幹線の列車で直ぐに京都へ移動してしまった。
以降、京都泊と奈良泊ということにして、関西圏でのんびりとしていた…出ていた期間中、雨に降られて動き悪かったのは、3月29日と4月1日だけだった。他は普通に曇天や晴天であった。それは好かった。
最近は「見慣れぬ路の果ての見知らぬ街」というような場所に至って、そのまま帰還が叶わなくなったとしても、「然程の悔恨も感じないのではないか?」と思っていた。最近は、そういう気分が少々強まっている感もしていた。実際に出掛けて戻ってみて、そういう気分は大きくは変わっていない。が、「事情」というモノで、何か世の中の様子が変わったという感はした。
新千歳空港を発着する航空便だが、これはよく視ると「減便」という措置が既に取られている様子だ。往路の成田行は「空席の方が少ない」という程度に座席が埋まっていた。復路の神戸発は「やや空席は目立つ」という程度だった。
東京・京都の新幹線の列車に関しては、「常時、それなりに混んでいる?」という感であるあの路線を承知しているので、「少々目立って空いている」というような、車輛の半分弱の座席が空いていたように見える状態だった。
各地―千葉県内と千葉・東京間。京都周辺。奈良周辺。大阪市内と大阪・奈良間。その他、若干…―のJR、私鉄は「座席が埋まる程度の乗車」とか「若干、立席が見受けられる」という程度で、「大都市特有な混雑」には出くわさなかった。尤も、混み合いそうな時間帯に動いていなかったとか、混み合いそうな朝早くには少し長閑な辺りを動いたということも在ったのかもしれない。
方々で、桜が美しかった!本当に「それでも花は咲く」という感であったと思う。
所謂「お花見の名所」では「宴会は御遠慮下さい」というような看板が、昨今の「事情」に鑑みて掲出されていて、そういう「お花見の光景」には出くわさなかった。が、思った。或いは「平常のお花見の様子」の方が「異様?」なのかもしれないとである。
京都の地方紙―京阪・清水五条駅周辺の喫茶店で拝見…―に、日曜日の桜の名所での様子が取上げられて「控え目に」となっていた。特段に「場所取り」で何やら料理を広げる、酒を酌み交わす、焼肉をやるという様子は無かった。それでも、通り掛って足を停め「好いなぁ…」と桜を眺める。自然で好い感じがしないでもなかった。そして場合によっては、桜の辺りでランドセルを背負った新入学児童らしい子どもの写真を撮っている親子連れや、確り衣装を着込んでカメラマンが撮影というスタイルの結婚写真の現場を視た。本当に「それでも…」という、人々が人生に普通に向き合う様子がそこに在ったような気がする。
地元に比べると「やや温かい」という感じの地方に入り込み、随分と精力的に歩き廻った。これは、動き悪い積雪期を過ごしていた身にとっては、少しばかり有難い時間だったかもしれない。そういう動き悪さと、昨今の「事情」の醸し出す雰囲気との相乗効果で、何やら倦んでいたと感じていたが、少しサッパリした感である。
暫くは…「好い時間」の「余韻」という中で過ごすことが出来るかもしれない…
そう思っていた間に<しゃちブレンド>を満たした<NARA>のマグカップは空いた…
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