暗くなり切ってしまう少し前から「何時でも御休み頂いて構いません…」という状態で寛いでいる…
早朝、松山の宿の居室で不意に思い出していた。本当に不意に思い出したのだが、別段に重要な事でも何でもない…
学生の頃、御厄介になった教授陣の中の一方が何かの折りに仰っていた。「例えばモスクワへ飛ぶというような、長い時間の乗物移動の前夜は、乗物の中で眠れば好いので、徹夜で何かをしても差支えは無い」とである。
長い時間の乗物による移動は、体調を整えた方が好いのかもしれないが、結局「黙って座っているばかり」で、体力を消耗するという程でもなく、智慧を巡らせる余地が在るのでもない。私は移動の乗物の車窓を眺めるのが「愉しい!」と感じる方ではあるが、近年は移動の乗物の席で眠ってしまう場合も少なくはない。何も「教授の薫陶」ということでもないが…
そういうことを思い出したのは、「長駆移動…」という前夜、日中に歩き廻っていた関係で早めに眠気が射し、早めに休んで「寧ろ深夜」に眼を開けて、また眠るということがし悪くなってしまい、「何となく起きていた」という時間が長かったからだ。「徹夜で何かして」ということでもないが、「(結果として)余り眠っていないかもしれない」という夜を過ごしていた形になってしまった。そういう中で「移動の乗物で居眠りでも全く問題は無い…」と不意に思い出したのだ。
振り返ると…前日は「松山→今治→大三島→今治→松山」…前々日は「高知→多度津→松山」…その前は「姫路→岡山→坂出→善通寺→丸亀→高松」というように動いていた。姫路に至った日の、稚内からの移動は「新千歳→神戸」の空路が含まれるので「例外?」かもしれないが、連日のようにそこそこに動いている。
こういう中なので「松山→神戸」の高速バスは「長駆移動…」という感になるように思う…
何となく聞き及ぶ範囲では、列車も空路も海路も在るが、「四国・関西間を移動」ということでは、高速バスも「手っ取り早く、相対的に安価」ということになっているらしい。こういうことは「とりあえず経験」と思ってしまう…
実際、「そう言えばそんなモノも在るのか?」とJR松山駅の辺りで気付き、入手した「松山→神戸」の高速バスの券は「当たり前の価格」で6500円だった…JRグループのバス会社が運行しているようだ。(他のバス会社も携わっていると思うが…)
朝の松山で、少し馴染んだ路面電車に乗ってJR松山駅へ向かった。少しだけゆとりを持って出て、バスが現れるのを待っていた…乗車した朝の便は…空いていた…最初に、間違って券を求めた昼の便はやや混んでいるようにも視えたのだが…朝の便は、最初は私1人が乗客という状態だった…
松山市内を、何やら「自転車通学」の生徒諸君が走っている様子やら、信号待ちで並んだトラックに豚や牛が積まれている様子も眺めながら進んで、「松山南警察署」というモノの近くから高速道路に入った。以降、高速道路は内陸に築かれているようで、バスは内陸の道を進み続けた…
やがて「池田」とか「三好」とか「美馬」というような地名の看板が見え始めた。高松から徳島を経て高知へ向かった時に列車で通っている徳島県の内陸部、嘗ては吉野川の舟運が盛んであったという地方に入った。徳島県内まで、何箇所かの停留所に停車して乗客を乗せようとした。乗った停留所も在ったが、誰も乗らずに実質通過という場所も目立った…
やがて鳴門市内の道を進み、淡路島に入り込んで、淡路島を北上し続けると見覚えも在る<明石海峡大橋>だ…橋の神戸市側、舞子で下車する乗客は無かったので、そのまま三ノ宮駅にバスは向かった。そこで私は下車した。他の乗客はそのまま乗り続けて大阪駅へ向かった…
概ね4時間半強という行程だった。「オンタイム」だ…渋滞のような状況で遅延は発生しなかったが、出発した時に録音のアナウンスで「遅れた場合の払い戻しは無い」という旨を言及していたので、時には「何やら酷く時間が…」ということもあるのであろう。が、それは寧ろ例外なのだと感じた。存外に快適な車内で、妥当な速さで安価と言い得る運行だと感じた…この「関西・四国間のバス」というのは記憶に留めたい感だ…
これで…瀬戸内海の巨大な架橋群に関して、岡山県・香川県間の橋と、徳島県・兵庫県間の橋は渡った…愛媛県・広島県間は…愛媛県側を「途中まで」ということだ…
神戸の三ノ宮駅周辺は、何となく親しんでいる。立寄ったことも在る店で、強めな光線を避けるべく半分メッシュになった夏季向けのキャップを求め―拙宅から持参しようとして、何となく持たず終いだったが、四国で強い陽射しを浴び続け、「これは帽子でも…」と思ったのだ…―てから、「一寸腹ごしらえ…」と<神戸牛>のステーキを少々頂いた…
そして神戸では須磨寺を訪ねてみた…強烈な陽射しを受けながら見学した感だった…更に大阪へ移動して1つだけ細かい買物―愛用中のパソコンに溢れる写真データを保管するためのモノ…―をして、奈良へ移動した…
大阪から移動し、奈良に至った…四国に在って色々と考えた。“帰国”は神戸空港からなのだが、その前に…何処へでも向かうことは出来たと思うが、何となく少し馴染んだ関西で過ごしたくなって来た。で、“別宅”と勝手に呼んでいる奈良の宿に陣取るという段取りにした訳だ…そして窓からの「非常に気に入っている景色」を時々眺めながら寛いでいる…
「松山→神戸」の高速バスの中では、多少は居眠りをした気がするが、「松山の知らなかった箇所」や「四国の山河」や「淡路島の知らない部分」という様子の車窓が興味深く、寧ろ確り起きていた時間が多かったような気がしている。前夜からの流れで然程寝ていないかもしれない中、須磨寺を訪ねた際の陽射しで多少消耗した…「何れ必要となる…」と大阪駅の傍で一つだけ買物をし、後は押さえた奈良の宿へスムースに向かったのだった…
それにしても…好天が続いていて、何となく好い感じの時間が流れている…
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