尼崎城を訪ねようとした際、バスに乗車した辺りと少し違う出入口の辺りにバスが着いて、階段を上ってJR尼崎駅へ入ろうとした…
↓こういう像を眼に留めた…なかなか美しい像だ…

↑「文楽の人形?」と思った。勿論、「繊細な工芸品」である文楽の人形が駅の通路に何となく在る筈もない。コンクリートや石、または金属系材料で造られていると見受けられる像だが…
文楽と言えば?江戸時代の近松門左衛門という作家が知られているが、実は尼崎と縁が深い人物であるという…
近松門左衛門(1653 - 1724)は京都から大坂に移って活動をした際、船問屋の尼崎屋吉右衛門の家に逗留するなどしていたという。
尼崎に広済寺という寺が在る。近松門左衛門の時代に住職を務めた日昌上人という人物の実家が、船問屋の尼崎屋であったとも言われている。そういうことで近松門左衛門と日昌上人との間に交流が在り、近松門左衛門は母親の法要を広済寺で依頼したという経過が在り、御本人が他界した際の墓も広済寺に在るというのだ。
↓近松門左衛門と縁が浅くない尼崎…ということで、文楽の人形のような、近松作品に登場する人物の像を1999(平成11)年に尼崎駅に設置したそうだ…

↑これは『冥途の飛脚』―1711(正徳元)年に初めて上演されたと伝わる作品―に登場する<梅川>(うめがわ)という人物であるという。
『冥途の飛脚』の劇中、<梅川>は大坂新町の遊女である。300両の“封印切り”という大罪を犯してしまった飛脚の忠兵衛に身請けされ、新口村(にのくちむら)へ駆け落ちするということである…
高名な文楽の人形遣いの助言を仰ぎながら制作したという<梅川>は美しいが、こういうモノがさり気なく駅の通路に飾られているというのが実に好いと思った。文楽の公演は観た記憶が無く、近松門左衛門の作品を読んだということでもないが、ここで<梅川>に出くわして好かったと思う…
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