「門前に市を成す」ということであった“門前町”と、「境内そのものが町の様相を呈した」という“寺内町”とは少々性質が異なるらしい…
後者は、大小様々な勢力が構想を繰り返したような戦国時代に起こっていて、それは商業活動やものづくり、更に大切な信仰を護る工夫であったということになる。戦国時代が過ぎて、安定の江戸時代の経過の中、寺内町は「商業の町」というような様相を呈したらしい。更に近代に至って色々な場所で様々に様子が変わるが、一部に「古い様子」を伝えている、「昔の雰囲気」を色濃く残す場所も在る。
そういう場所の一つに富田林の寺内町が在る…ここも一度立寄って、再訪を期していたのだが、その再訪が叶った。
朝早くから動いていて、何時の間にか「ランチを摂っても不自然でもない…」という時間帯に至っていた。加えて多少の空腹も覚えていた。そういう中で「とりあえず富田林駅へ…」と思いながら歩いていると…「何やら好い香り!?空腹感を刺激される…」と思った…
↓ここから漏れていた出汁の芳香だった…
↑画の奥側が店主―親しみを込めて“おばちゃん”と呼びたい雰囲気だった…―の住まいで、手前側でおでんを作って売っている。持ち帰り用、そしてその場で頂くことも可能である…建物は「150年位になるらしい」とのことだ…幕末期、明治時代初期ということになる…
↓こういう具合に供されるおでん…非常に美味しく頂いた!
↑「一人前の鍋物」を供する要領で、金属製の小さな鍋のようなモノに煮込んである出汁と具のおでんを入れ、火を点けている訳だ…
鰹節と昆布とで取る出汁…そして具材は大根、つみれ、こんにゃく等を御願いした…刻んだネギと柚子が少し入っていた…明確に何処の流儀ということでも内容だが、言わば「大阪の家庭料理」という趣である。店主のおばちゃんによれば、年配の人等が「子ども達も居て、大勢で暮らしていた頃はおでんも作った…夫婦2人や1人になると?懐かしい…」と言っている場合も在るらしい。なるほど、1人で煮込むのに時間を要するモノは作らない。何人もの家族で暮らしているのなら、沢山煮込んで作ると、皆でわいわいと食べるのに好いのだが…
自身でもおでんは「久し振り?」という感だった…更に地域の感じとして「時季らしいのが過ぎる程度の低温?」という中、雨まで交って来た中、「大阪の家庭料理」という趣という熱いおでんは非常に美味かった!!そして幕末期や明治時代初期という年代の建築が「極普通に店舗兼住宅に利用されている」という興味深い様子にも触れられた…
ここも「思い出の店」に加わった…
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