
↑東寺の境内でこれに気付いて足を停めて眺めた…
これは<小子房>(しょうしぼう)と呼ばれる場所だ。門扉に菊の紋章が入っているのは「天皇を迎える特別な場所」であるからで、普通は公開されていない場所であるそうだ。
少し前に『北朝の天皇』という本を呼んだのだが、この<小子房>には北朝に纏わる故事が伝えられている。
室町幕府の草創期、南朝方との争いが生じた中で幕府は北朝を擁立する。そして足利尊氏は光厳上皇を奉じて京都に入った際、東寺に陣取り、光厳上皇は<小子房>を御所としていたという。要は「上皇の居所」である所謂“仙洞御所”となった経過から、この場所が東寺の中で「特別な場所」という扱いになっているのだ…
↓東寺も火災や戦禍で伽藍が損なわれる、再建されるを繰り返した経過を免れないのだが、この現在の<小子房>は「弘法大師空海千百年御遠忌(ごおんき)」ということで、1934(昭和9)年に建てられたそうだ…

東寺という場所は、平安京が拓かれた当初から寺を建設すると構想した場所に在り続けるという、或いは非常に特異な存在であるだけに様々な豊かな歴史が伝わっている場所だ。何度も立ち寄って、この<小子房>のような場所に気付くことを積み重ねている…また立ち寄りたいものだ…
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