「気に入ったモノについて」ということになると、極々大雑把に2つ在ると思う。
一つは「理屈抜きに好い!」ということで、もう一つは「これが好いというのは…」という「理屈」が際限無く湧き出て来るということだ。
とは思っているのだが、音楽作品のようなモノの場合には、「理屈抜き」で「何となく…」と惹かれて、何度か触れる中で「こういうように素敵じゃないか!」という「理屈」が湧き出るようになって行くということも在るかもしれない。極々大雑把に2つとしたモノの境界が曖昧化する訳だ。
↓こういう「理屈」が湧き出すモノが届いてしまった…
↑国内各地を巡り、演奏活動を展開していて、稚内にも数え切れないかもしれない程に登場しているシンガーソングライター、松山隆宏が新しいディスクを出したのだ。そして「ディスクが在るなら、是非入手して聴きたい…」という作品が収録されているので、直ぐに申込んで、それが無事に到着した訳だ。
松山隆宏の稚内での演奏に関しては、2019年3月、2018年2月、2017年3月と聞いていて、このブログでも取上げている。これらの演奏で、彼はサハリンのミュージシャンと共演している。実は、このサハリンのミュージシャンであるアンドレイ・メリニチェンコと知り合った方が先だったのだが、彼が稚内に何度も登場している松山隆宏と共演ということで演奏会場に御邪魔したという経過ではあった…
愛用のギターを演奏し、時にブルースハープも交えながら歌う松山隆宏は、ベース奏者でコーラスにも参加するタンク宮本を“相方”に稚内へやって来る。「稚内へ来ると、どうしたものか、何時も彼らに出くわす」と、稚内で公演中の<ルースキー・テーレム>のメンバーと知り合う。そして、<テーレム>のリーダーで、アコーディオンに似た伝統楽器のバヤンを演奏するアンドレイ・メリニチェンコと懇意になり、アンドレイ・メリニチェンコが松山隆宏、タンク宮本のコンビに加わり“トリオ”で演奏という機会が稚内では設けられる場合も発生するようになった。そんな機会に御邪魔していた訳だ…
松山隆宏、タンク宮本、アンドレイ・メリニチェンコの「稚内ライブ限定トリオ」が演奏する中で取上げられる楽曲に、思わず「行き止まりなんかじゃない♪ここが始まり♪ヤムワッカナイからあなたの街へ♪」というサビを記事件名にしてしまったのだが、『ヤムワッカナイから』というモノが在る。これが秀逸なのだ!
各地を巡って演奏活動をするシンガーソングライターが、遠い道程を行き交いながら出くわす景色、様々な人達との交流の想い出を胸に旅を続けるというような曲の雰囲気に酷く惹かれたのだが…この『ヤムワッカナイから』は歌詞で綴られる世界の感じが酷く素敵なのだ!
海辺の街で、北からやって来た、互いに言葉が通じるでもないかもしれないながらも楽器演奏や歌が響き合うという人達―<テーレム>関係者であることが示唆されている―に出くわしたこと…樺太に渡って仕事をした経過が在るという祖父が視たかもしれない海辺に、愛用のギターを抱えて初めて佇んでから随分と時間も経たこと…そういう詞の中の世界に「行き止まりなんかじゃない♪ここが始まり♪ヤムワッカナイからあなたの街へ♪」というサビなのだ。
↓そんな『ヤムワッカナイから』が収録されたディスクということで、嬉々として開封して収録曲を聴き始める訳である…
最近の“事情”で、方々を巡って演奏会を催すというような活動はままならない…「であれば…」と、近年の作品、過去のディスクに入っていなかった楽曲を確り録音して、新たなディスクが制作されたようだ。
そういう、『ヤムワッカナイから』が収録されたディスクが登場した背景に想いが及ぶと、歌のサビの「行き止まりなんかじゃない♪ここが始まり♪」が沁みる…活動はままならないかもしれない。それでも「行き止まりなんかじゃない♪」と活動へのエネルギーを保ち続け、「ここが始まり♪」とディスクの制作に勤しんだということになる。
自身では「稚内駅」に関して「終着駅ではない。始発駅だ!」としているのだが…列車が辿り着く終着かもしれない駅を擁する街で、新たな出会いに心弾ませ、自身の祖父母というような手近な人達も含めた先人達から受継がれているモノを想い、新たな想いで「あなたの街へ♪」と遠い道程を歩み始める…そういう感じが酷く好い!
全く、「理屈抜き」で「何となく…」と惹かれて、何度か触れる中で「こういうように素敵じゃないか!」という「理屈」が湧き出るようになって行くというようになっている…実は今もエンドレスに繰り返して『ヤムワッカナイから』を聞いているのだが…
とにかくも「気に入った楽曲が収まったディスク」というようなモノが手に入ると、「理屈抜き」に嬉しいものだ…
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