早朝…:高野山 金剛三昧院(2021.11.21)

高野山を訪ねて宿坊に一泊…そんなことを思った。と言っても、特殊という程のことでもない。宿泊予約が出来るウェブサイトで見付けることが叶うのだ…

そんな訳でその宿坊の一つに御世話になることにした。<金剛三昧院>という場所だ。

宿坊というモノには色々と仕来りも在るのかもしれないが、金剛三昧院には「素泊まり」というプランが在って、何か「寺の離れに居候させて頂く」という感覚で滞在出来た。個人的には酷く好みに合った。そして朝6時半からの勤行に参加出来る。これはなかなかに興味深い経験で、一頻りの勤行を終えた後の講話も興味深いものだった。

↓その朝の勤行の少し前だった。泊まるようになっている場所の前から門を望んだ…
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↑この時季、「6時半」の少し前という時間帯は「微妙な明るさ」という具合で、何か独特な趣が在ると思う。

「1200年もの歴史を誇る高野山では相対的に新しい」とは、朝の勤行の後に講話ということで御話し頂いた名誉住職の言だが、“新しい”と言っても「八百数十年」の歴史を有するのが金剛三昧院である…

鎌倉時代の初め、夫である源頼朝や息子である源実朝を喪った北条政子が、その菩提を弔うべく開いた寺が金剛三昧院の起こりであるのだという。13世紀冒頭の出来事になる訳だ。

↓門を潜って直ぐの辺りだ。少し特徴的な塔が在る。
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↓優美な多宝塔である…
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↑これが源頼朝と源実朝の菩提を弔おうと北条政子が施主になって建立させたとされる建物で、現存するこの種の多宝塔としては、大津の石山寺に在るという多宝塔に次いで古い、「日本で二番目に古い」と謂われるモノであるそうだ。

金剛三昧院は、「表通」という感じの場所から少しだけ奥まった感じの場所に在る。それは「相対的に新しい」と言うべき事情で、奥側の空いている場所を利用したという起りの頃の事情がが在ったのかもしれない。が、「少し奥」であるが故に「火災のような事件に際しては「巻き込まれ悪かった」(火災による類焼が無かった)という面も在る。それ故に、現在では貴重であるこの多宝塔のようなモノが受継がれることとなった訳だ…

実際的には「少し奥」と言っても、「表通」的な感じの場所から歩いて5分か、それに満たない程度に脇の小路を進むというだけのことで、全然不便ではない。

↓そしてこれが庫裡である。寺の様々な活動に使われている建物で、夕刻から早朝は、人が近付くと感知して灯りが点く装置が据えられているようだった。装置は、泊まる場所の出入口にも在ったが…
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↓大木に注連縄を掛けて大切にしているという例が各地で見受けられるが、この金剛三昧院の境内にもその種の大きな杉が見受けられた…個人的にはこういうような巨木を眺めるのが凄く好きだ…
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↑「高野杉」と謂うようだが、高野山は古くからの杉木立が多く伝えられている地域でもある…

↓朝の勤行に際しては、こういう“護摩”に願いと氏名を書いて祈願料を添えて提出する…
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↓そうすると“御守”が授与される…
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「文化財」という建物、それも「世界遺産」というようなことになっているモノまで含む建物等を擁するという場所で「寺として」の「普通」な活動を継続するということには、一般の人が一寸想像し悪いような苦労も在るようだ。そして「豊かな山林の一隅」という立地であるが故に、鹿やムササビというような野生動物が「思いも掛けない被害…」のタネになってしまうような場合も在るという。そういう中でも、数百年に及ぶ法灯を受継ごうと関係者の努力が続いているのだ。

こういう場所で漠然と過ごす時間…何か凄く好い感じだ!!ここを離れて、地元へ引揚げて然程の時間は経たないのだが、早くも「また何時か御邪魔するのも好いかもしれない…」と懐かしくなっている…

この記事へのコメント

  • ライカ

    やはり高野山は次元が違う何かが潜んでいる場所。
    心が洗われる場所ですね!
    2021年11月30日 11:22
  • Charlie

    >ライカさん
    この金剛三昧院での滞在は、忘れ難い経験となりました!
    早朝の空気感は、名状し悪いものでした!!
    2021年11月30日 17:24