呉線の車窓を愉しんだ…(2021.12.22)

所謂“中国地方”というのは、本州という長大な島の南西部を占めていて、東西にやや広く拡がっている。その“中国地方”の瀬戸内海側で、やや西寄りな広島と、東寄りな岡山が「二大都市」というようなことになるのだと思う。

この広島と岡山との間を往来しようとするなら、幾つもの経路、幾つもの交通手段が在り得ると思う。所要時間も料金も様々であろう。今般、「岡山から広島へ」という移動を企図した。少し踏み込めば、奈良で過ごした後に広島を目指そうとしていたので「関西圏から広島へ」という移動をしたことになるのだが、奈良を発った早朝に神戸へ直通する列車に乗り込み、辿り着いた神戸で新幹線の駅まで歩いてしまったことから、何となく新幹線の列車に乗車してみたくなり、一気に広島入りでもなく岡山に寄り道ということにしてしまった。そういう訳で「岡山から広島へ」ということになった。

その「岡山から広島へ」ということであれば、手中に在った<青春18きっぷ>による移動―普通列車を乗り継いでの移動―を「し易い…」と見受けられる地域だと思った。地域によっては「利用を阻んでいる?!」と首を傾げたい程度に列車が少ない場合も在るが、岡山・広島間であれば幾つかの経路でドンドン乗り継いで、順調に移動し得ると観た。

そして思い付いたのは「久し振りな感じで呉に寄りながら広島に至る」という経路である。

岡山は様々な路線の結節点となっているが、最も列車本数が多いのは、概ね瀬戸内海に沿って東西に延びる山陽線であると思う。<青春18きっぷ>による移動―普通列車を乗り継いでの移動―についても、その山陽線の列車で西へ進めば広島は然程遠くもないように思う。が、敢えて「呉線」を経由してみることとした。

「呉線」というのは、広島県内の三原から海岸部を大きく回って呉を経て広島の手前の海田市(かいたいち)までの87㎞の区間を指すという。呉のやや東側の広辺りを発着している列車の多くは海田市から更に進み、広島へ至るような運行が多いので、広島までが「呉線」であるように感じないでもないのだが、路線の区分けとしては海田市までであるそうだ。

海田市と呉との間は1903(明治36)年に鉄道が開通している。呉が海軍工廠を要する重要な軍港として発展しようという中、広島との間を結ぶ交通の整備が急がれて開通したのであろう。東側の三原とを結ぶ部分は、1930(昭和5)年に部分開業で、1935(昭和10)年に呉までの全線が開通している。従って、現在の呉線は1935(昭和10)年以来の歴史を有するということになる。

岡山から西へ、山陽本線の普通列車を利用するとなれば、余り深く考えなくても駅まで行くと「西へ進む列車」には乗車可能だ。

↓こういうような山陽線を行き交う列車に岡山駅で乗車する…
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↓早朝からその列車に乗って糸崎に至った。糸崎から広島方面へ向かう列車に乗換える…
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↓隣の三原に到り、三原で呉線の列車に乗り換えて呉へ向かったのだった。
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因みに…岡山で管轄している線区では古くからの車輛も見受けられるのだが、広島で管轄している線区では「近年の西日本の主力」に躍進した感じの227系電車が専らという感じになった昨今だ。227系電車は広島で初めて登場した後、各地の線区で古い車輛を置き換える際に採用されているという経過である。

この227系電車の列車に三原で乗り込み、呉を目指した…

↓進行方向左側に陣取ったのだったが…呉線の区間に入れば、車窓に海が視えた!
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↓そして造船所も視えた…
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↓対岸の四国、愛媛県を本拠地とする会社の工場であったらしい…この辺り、広島県、愛媛県というような瀬戸内海辺りは造船業が盛んな地域でもあることを思い出した…
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↓朝が遅い12月であるからだと思うのだが、何やら朝の光と海の風情が酷く好い感じだ…
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↓海岸に迫るように集落が見受けられ、海には「養殖?牡蠣!?」というモノも視えるようになる…
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↑「広島県」と言うと、殊にやや西寄りな辺りでは「牡蠣の養殖」が盛んであるという…

牡蠣の養殖だが、北海道の宗谷地方と少し縁が在る。

牡蠣の幼生は2週間程浮遊しているが、やがて岩場等に付着するようになる。養殖ではこの性質を利用する。幼生が浮遊している海中にホタテの貝殻を沈めると、幼生は貝殻に付着する。「採苗」と呼ばれるそうだ。

この「採苗」に用いるホタテの貝殻は北海道の宗谷地方から大量に供給されている。稚内港には、この用途で広島県へ送るための夥しい数の貝殻が袋に入って積まれているのが見受けられる場合も在るのだ。

↓やがて呉が近付く…
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↓「いよいよ到着!」と列車の先頭側に歩を進めて、前方を少し眺めてしまった…
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↓列車は呉駅に到着し、乗降が済んで、直ぐに行先である広島を目指して発車する…
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ハッキリ言えば、岡山から広島へ普通列車で移動しようとする中、呉線経由は「遠回り」である。が、車窓を愉しんで、色々と面白い呉に寄ってみるということなら、積極的に「呉線経由」を択んでも好いような気がする。

今般、呉線を列車で移動したというのが酷く愉しかった…こうして写真を多数掲出して、記憶を強く留めたいと思った…

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