東京に在って「新宿に出る」とでも言えば、実は「存外にややこしい…」ということに思い至る。
JR新宿駅には様々な路線が乗入れているが、「新宿駅」を名乗る私鉄や地下鉄の駅は色々と在り、「新宿〇〇」とか「〇〇新宿」というのまで多々在る。そして“新宿”と呼び習わされる地区もなかなかに広い。
そういうことなので「漠然と新宿」というのでもなく、「新宿の〇〇」という程度に「的を少し絞る」ということが必要なのかもしれない。
今般、「新宿に出る」と思い立った。翌日以降の段取りのため、JR新宿駅の南口辺りに立ち寄りたかったのだ。
↓そこで利用したのが都営地下鉄の新宿線だ…ここでも大江戸線と同様の、列車が進んで行く側にやや濃い色の、判り易い案内が在った。
↑大江戸線の蔵前駅から森下駅までは直ぐで、そこで新宿線に乗換えることが出来る。
1978年に開業し、1989年に全通したという都営新宿線である。京王新線との相互乗入運転が行われていて、新宿ではJR新宿駅南口を伺うような辺りに出入口が在る。
実は都営新宿線は少し面白い。軌間が1372㎜なのだ…多く見受けられるのは1067㎜か1435㎜で、これは非常に少数派だ。
現在の都電の前身となる東京市電の起源である馬車鉄道が1882(明治15)年に、理由等は不詳ながら、この軌間1372㎜を採用したそうだ。
京王帝都電鉄は、この東京市電との乗入運転を意図し、自社路線の軌間を1372㎜として現在に至っている。都営新宿線が同社と相互乗入ということになった際、京王の1435㎜への改軌も打診されたが、少し困難ということで1372㎜が採用された経過であったという。
「軌間1372㎜」は京王とこの都営新宿線、東急世田谷線、他に函館市電というのが現存する。過去に採用されていた例では、各々に改軌が済んでいるそうだ。
↓新宿へ向かう列車がやって来た…
↓正面の窓の下に「KEIO」…京王の車輌であった…
森下駅・新宿駅間は、何となく「東西に東京を横断」というような経路だと思った。「実は少し独特な規格」の車輌での移動…こういうことを思い出すのも少し愉しい。
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