一等客車「い一号」:小樽市総合博物館(2023.05.14)

↓蒸気機関車の<しづか>の隣りに客車が鎮座している。
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↑<一等客車「い一号」>というそうだ。1892(明治25)年に現在の小樽市総合博物館の辺りに在った「北海道炭礦鉄道 手宮工場」で造られた客車であるのだという。台車は米国からの輸入品で客室部分を手宮工場で造ったそうだ。

↓少し入って中の様子を伺うことも出来る。
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「い一号」の“い”であるが…古く客車は“一等車”、“二等車”、“三等車”に分類され、“一等車”の車輌には“イ”、“二等車”の車輌には“ロ”、“三等車”の車輌には“ハ”の記号が充てられた。これは永く受継がれていて、例えば「キハ54」の「ハ」は三等車の流れを汲む普通客車なので使用されている記号であり、二等車の流れを汲むグリーン席客車では「ロ」の記号が使われている。そんなことを思い出していた。

↓進入可の辺り迄入り込んで中の様子を観た。
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↑細長く、両側が窓なので鉄道車輛という雰囲気は色濃いが、なかなか好い内装だ。ストーブが据えられたサロンのような雰囲気である。自身ではそういう仕様の車輌に乗車した記憶は余り無いが、北海道では古くは客車内にストーブという例は色々と在ったようだ。それはそれとして、ストーブもやや細工が細かいのが面白い。

この客車は「貴賓車」として扱われ、来訪した韓国皇太子が乗車したというような経過も在ったそうだ。やがて札幌の定山渓鉄道に払い下げられて利用され、使用されなくなって時間が経ち、1963(昭和38)年に国鉄に寄付された。そして小樽市総合博物館の前身の一つになっている国鉄の「北海道鉄道記念館」に保存・展示されて現在に至っているそうだ。

こういう古い時代の車輌を眺めるのも少し面白い。様々な様子を想像してしまう…

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