堺町通から小樽駅が近い辺りへ通じる道を目指して歩を進めた。
↓<小樽藝術村>と称する、数棟の建物から成る美術館の一部として使われているという建物なのだが、非常に重厚な壁で、歩を停めて見入っていた。
↑鉄骨鉄筋コンクリート造で、外壁に花崗岩を使っているということだが、これは1927(昭和2)年に竣工した建物であるという。
以前に眺めて写真に撮った際にも確かめたが、竣工して以来、「三井銀行小樽支店」、「帝国銀行小樽支店」、「三井銀行小樽支店」、「太陽神戸三井銀行小樽支店」、「さくら銀行小樽支店」、「三井住友銀行小樽支店」と銀行の組織改編や改名を経ながら、2002年に至るまで75年間程にも亘り、一貫して銀行店舗として利用され続けていたのだという。75年間の経過ということで登場する銀行名を追うだけで、何やら「日本の銀行業界の歴史」が滲む感じがする。
昭和の初めには、金融取引に関して小樽は大きな存在感を放っていて、全国展開しているような銀行が立派な建物を建てて支店を設けた。が、全国展開しているような銀行が北海道の拠点として支店を設けるのであれば札幌が好いという様子になっているのであろう。北海道の諸都市の中で、札幌の存在感は他を寄せ付けない程度に巨大になっているのだ。そういう事情で、三井住友銀行の時代に入って、小樽支店は札幌支店に統合という形になり、この建物が空いた訳である。
辺りの<小樽藝術村>という美術館として利用されているという建物の外観は何度も眺めているのだが、美術館に入ってみたことが無かったことに思い至った。そして「そのうちに時間が在れば…」という程度に考える。しかし、“時間”は「在れば…」ではなく「創る」とか「設ける」という性質のモノであるとも思う。
小樽から引揚げて然程時日を経たのでもないのだが、そして今般は「かなりゆっくり愉しんだ」という気で居るにも拘らず、「次の機会の“課題”」に続々と思い至ってしまう。
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