出先の宿の居室で「後は何時でも御休みして頂いて構いません」という様子で寛ぐ夕べは好い。現在、その出先の宿に無事に至った。と言っても、些かの回り道のようなことをした場面も在ったのだが。
現在在るのは大宮だ。埼玉県さいたま市の大宮である。近年、好んで利用するチェーンのホテルに部屋を取った。少し馴染んだような居心地の居室が心地好い。
東京に在った学生時代、埼玉県内には何度も足を踏み入れている。その後?稚内に住むようになって、首都圏へ南下した際に、友人と出掛けたという記憶は在る。が、それも一度だけのことで、随分古い感じになっている。それ以来、多分、埼玉県内に足を踏み入れていない。そして埼玉県内に宿を求めたのは全く初めてだと思う。
大宮は江戸時代には中山道の宿場町だった。「武蔵一宮」こと「氷川神社」を要する地区で、それに因んで「大宮宿」と呼ばれるようになって行ったのだという。明治時代には、大宮に鉄道駅が誘致され、様々な路線の駅ということになり、やがて鉄道の拠点として大きな位置を占めるようになって行ったのだという。
そういう経過の大宮にとりあえず至って、後は「現場で何となく考えてみる」というように思い、この「クリスマスイブの日曜日」に大宮の宿に至ろうとしたのである。
何か「“今年”が程無く“フェイドアウト”…」という程度に感じられる時季だ。とりあえず無事に1年を過ごしたと言えると思う。残念なことも、嬉しかったことも在ったように思うが、「今日、ここに無事に在る」というようなことに感謝したいという感が少し募る。
こういうようになって来ると、少し時間を設けて随意に過ごしたいという気持ちが募る。そうなれば、別段に遠慮する必要は無い。時間を設けるというだけのことだ。そして、とりあえず大宮に至るべく動こうとした訳だ。
「12月24日の早朝に稚内駅から列車で出発」というように予定した。が…去る12月21日以来、何やら雪が多い。多少気になっていたが、12月23日夕方にJR北海道の運行情報を観た。翌朝の列車…12月24日の朝の列車は既に運休が決まってしまった。
こういうようになると?「夜行のバス」というモノを利用し、翌朝早くに札幌に在るという状態を目指すのが好いのかもしれないと思った。夜、稚内駅のビルに在るバスの窓口は21時30分に開くようになっているのだそうだ。とりあえずそこを目指すようにする。
日頃と変わらない様子で、御近所の御店に立寄って食事を愉しみ、その足で稚内駅のビルに在るバスの窓口へ向かった。開いた直後に係の方に訪ねた。そして片道1名で札幌迄の夜行バスの切符を求めることが叶った。それを手に拙宅へ引揚げた。
やがて支度をして、稚内駅のビルの前を目指した。雪が交る中である。「緊急発進」という気分だった。
稚内・札幌間の都市間バス、深夜便に乗車するのは久し振りだ。満席状態で少し混み合った車内だった。浅い眠りで、1回だけ御手洗を利用したが、場所まで進むのが窮屈で、少しだけ難儀した。順調に走り続けたようで、運行案内のとおり、概ね午前6時に札幌駅前に着いた。稚内へ向かうバスに乗車出来るのは「バスセンター」だけなのだが、札幌へ向かうバスは苗穂駅前、バスセンター、札幌駅前で下車出来るのだ。
未だ暗い札幌駅の辺りで、6時29分に旭川へ向かう特急列車が出ていることを知った。乗車券と特急券とを求めて乗車した。
岩見沢駅へ着く少し前、大雪によるポイントの切替の不具合が生じ、調整をしているという案内が在った。岩見沢駅にやや遅れて入線した。やがて少し先までのポイントの調整に時間を要するので暫く停車という案内が在った。結果的に33分程度の遅れとなった。そのまま、美唄、砂川、滝川、深川の各駅に33分程度遅れて着き、旭川到着も33分程遅れていた。列車の窓から外を伺う限り、札幌市内は然程の雪でもないが、岩見沢以北は少し雪が多目になっていた。朝から天候は悪くないが、昨夜遅くに存外な雪が降ったということなのであろう。
列車が遅れたとは言え、午前9時になる前に旭川駅に在って、駅の傍に在る「東川町で起こったカフェ」に立寄り、ゆったりと寛いで居た。これ自体、なかなかに好いと思う。
実を言えば、早朝から旭川を目指し、昼から旭川空港に至り、そこから飛ぶということを考えていた。いきなり阻まれた形になったが、夜行バス、雪の影響で少々遅れた列車で、過ぎる程のゆとりを持って旭川に到ることが叶ったのだ。これはこれで善い。気が向くように動けるということに感謝したいものだ。
旭川では予定していたフライトを利用出来た。空港へ移動し、飛行機に乗ったが、飛行機は「強めな向かい風」で定刻よりやや遅れて羽田空港に着いた。
羽田空港から先は、京急で品川駅に出て、品川駅でJRの<上野東京ライン>と呼ばれている列車、「宇都宮行」というのに乗り込んだ。首都圏は、列車本数が多く、乗客も多い。駅で何となく動いていれば、待つ間も無く目指す先へ向かう列車が直ぐに現れる。そして大宮に至ったのだ。羽田空港の地下に在る駅から列車に乗り、1時間10分程度で大宮駅に到ってしまった。速いと思う。徒歩での旅行が当然だった時代には、江戸の中心から「1日で動ける最も遠めな辺り」ということで「大宮宿」は或る程度栄えたのだという。現在の列車は、速度が上がる箇所は時速100㎞を超えている訳だから、「品川宿」のもっと向こうから「大宮宿」へ1時間10分程度ということなのであろう。
前夜から「動きっ放し」に近い。本格的に長い距離を歩き廻るようなことはしていないかもしれない。が…稚内・札幌の夜行バス、札幌・旭川の列車、旭川・東京の空路、羽田空港・品川・大宮の列車と相当な距離を動いている。宿の近くで確りと夕食も摂った。本当に「何時でも休んで…」という状態だ。明日のこと?正しく、明朝に考えることにする。
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