早目な時間帯に札幌駅を発ち、当然ながら早目な時間帯に小樽駅に到着した。朝の未だ静かな街を歩き廻った。
↓堺町通の北一硝子に到った。幾つもの建物が在るのだが、訪ねたのは三号館である。
こちらの<北一ホール>を観たかった。開店時に、ホール内に据えられた夥しい数の灯油ランプを灯す作業が行われるという。先着順で、その様子が見学出来ると聞いていたのだった。
↓訪ねてみれば少し並んでいたが、余裕を持って入り込むことが叶った。作業開始時、壁の辺りの照明の薄暗い灯りを頼りに関係者の皆さんが動き始める。
↓灯油ランプに一つずつ着火して灯す。そして硝子の覆いを被せて行く。
↓夥しい数の灯油ランプを順次灯す。オイルの仄かな香りが感じられるようになる。
↓これは天井に吊り上げられ「シャンデリア」になるというモノである。
↓準備が粗方整ったようだ。
↓「シャンデリア」はゆっくりと吊り上げられる。
↓今度は卓上が順次整えられる。
↓壁面の照明を落とし、夥しい数の灯油ランプの灯りのみということになった。
↓店頭の様子を見学して立ち去っても差支えは無いのだが、準備が整ったホールで飲物等も愉しめる。順番を待って御案内して頂き、珈琲と<小樽ビール>のドンケルを頂いた。
↓ランプの灯りは好い感じだ。
北一硝子は九州から北海道へ移住した創業者が1901(明治34)年に起した工房を前身としていて、灯油ランプの製造で業績が大きく伸び、更に1910(明治43)年頃には漁業用のガラスの浮き球の製造も手掛けるようになったのだという。本拠地の小樽の他に室蘭、旭川、釧路、更に樺太にも製造拠点を設け、400名もの従業員を擁する北海道内屈指の企業になって行ったそうだ。
そういう伝統を有する北一硝子だが、第2次大戦後に北海道の経済活動の中心が札幌となって行った中、小樽で独自の道を拓いて現在に至っている。<北一ホール>も色々と展開している取組の一環と見受けられるが、ここまで多量の灯油ランプ、北一硝子の代表的な商品を前面に押し出した「ショールーム」は圧巻だ。
オイルの芳香が仄かに漂うような中、珈琲やビールを愉しみながら、小樽の街や北海道の来し方に何となく想いを巡らせた。それはそれとして、これだけの膨大な灯油ランプが「実際に点火、点灯」という様子は余り観られないと思う。朝早くから動いて小樽を訪ね、この<北一ホール>に出会うことが叶って本当に善かった。自身としても再訪したいと思うが、誰かを同伴して見せてあげたいとも思う。素晴らしい場所だ。
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